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2005/06/04

立たないレッサーパンダ

lessor
近頃は、レッサーパンダが人気のようだ。
10秒ほど二本足で立ち上がるレッサーパンダがニュースで報道され、そのユーモラスな仕草が話題になったからだ。
過熱ぶりは留まるところを知らず、CMに出演するだの、登録商標を取るだの、大騒ぎである。

まるで、「立たないレッサーパンダはレッサーパンダにあらず」とでも言わんばかり。
そんな風潮にちょっと違和感を感じていたのだけど。

なにげなく、旭山動物園のHPを見に行ってびっくりした。
このことに関する緊急声明が出されていたからだ。

レッサーパンダを『見せ物』にしないでね(旭山動物園HP)

最近レッサーパンダの見るに耐えないニュースが氾濫しています。
で始まるこの文章は、最近のレッサーパンダ騒ぎについて、鋭い警告を発している。

この「ゲンちゃん日記」は、副園長である坂東元さんが書いているものだ。
坂東さんは、この記事で、動物園のあり方、動物の見せ方について、疑問を投げかけている。

レッサーパンダはもともと立つ習性があるわけではなく、「たまたま」立っただけに過ぎないのに、それを「見せ物」として観客を呼ぶことは間違っているのではないか?という。

最近、旭山動物園はいろいろなメディアに取り上げられているので、俺もその裏話について多少知っている。
だから、坂東さんの言いたいことはよく分かる。

旭山動物園はそんなに奇抜な仕掛けがある訳じゃない。
でもそれが素晴らしいのは、動物たちの習性をうまく利用した展示を行っているからだ。

アザラシがアクリルのパイプの中を上下に泳ぎ回るのは、アザラシが北極海などで息継ぎをするために、氷の隙間から顔を出し、水中と行き来しながら生活してるから。
ホッキョクグマが、床のカプセルから覗いている人間に近寄ってくるのは、反対にアザラシが氷から出てくるところを待ちかまえているから。
ペンギンが雪の中を行進するのは、餌を採るときに、繁殖場から海までを歩いて行き来しているから。

どれもこれも、動物たちの行動を細かく観察しなければ生まれない工夫だった。
アザラシ館の企画をした際に、「こんなものを作っても、本当にアザラシがこの円柱を通ってくれるのか?」と疑問の声が上がったという。
でも実際には何も教えなくても、アザラシたちはアクリル柱を自由に泳ぎ、期待以上の動きを見せてくれた。それは、アザラシたちにとって「自然な行動」だったからだ。

今回のレッサーパンダの件は、これとは全く異なっている。
レッサーパンダの骨格は、一応ちゃんと立てるようには出来ているそうだが、野生の中で見られる自然な行動ではない。
俺もレッサーパンダに詳しくはないのだが、たしか低い木なら登ることが出来たように思う。
だとしたら、レッサーパンダにとって遠くを確認するためにする自然な行動は、立ち上がることじゃなくて木に登って眺めることなんじゃないだろうか??
それがもし立ち上がらせるために、動物園側が餌をわざと高い位置で与えたりするようになったら、おかしな習性が身に付いてしまうことになる。

そうはいっても、俺たち「素人」にとって、それが自然な行動かそうでないかは、あまり重要な問題ではない。
ペンギンの行進も、レッサーパンダの直立も、どちらも楽しい「見せ物」には違いない。

でも、「プロ」である動物園側は、それをちゃんと認識する必要がある。
動物園は、動物の正しい姿を伝えることが必要じゃないか。その責任があるのじゃないか。坂東さんはそういっているように思える。

その願いが最後の文に込められている。

レッサーパンダを「見せ物」にしないで下さい。関係者の方お願いします

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